2015年御翼6月号その4

祈りとは何か ―― ロバート・シューラー

 

神も根負けするのだろうか? そうではなく、自分自身が変えられるために、私たちは忍耐強く祈り続けるのだ。
祈りとは何か シューラー著『日常の祈り・苦しみの時の祈り』(聖文舎)より
 祈りとは、私たちの生活の中に神を引き込もうとすることではありません。私たちが神の計画とその目的の一部となり、神のみもとに導かれるための霊的訓練なのです。祈りの目的は、あなたの望むものを、好きな時に手に入れることではありません。神が地上にあなたを生まれさせたときに、神があなたにこうあってほしいと望まれたような人間に、あなたがなることなのです。

積極的な祈りへの六つのステップ(PRAYER・祈り)
P‐Pursue(追求せよ)神をはげしく求めなさい。
罪の告白から始めなさい。具体的に述べなさい。自分のありのままの姿をうちあけ、きびしい言葉で容赦なく自分を描写し、さらけだしなさい。「もし心を尽くして、神を求めるならば、あなたは必ず主を見いだすであろう…」(申命記四章二九)
R‐Re-examine(再検討せよ)あなた自身を吟味しなさい。
 「私はほんとうに正直だろうか」と問いなさい。信じられないで悩んでいるなら、そのことを告白するのです。「神さま、私の信仰があいまいで、暗く、だらだらしているときでも、あなたは私を愛してくださることを感謝します」と。
A‐Affirm(確信せよ) 神があなたのうちに働いて、何事かを起こしてくださることを確信しなさい。
誠実に、また確信をもって祈りなさい。消極的な祈りは、あなたを弱くするだけです。「神さま、あなたが私を愛してくださっていることを知っています。・あなたは私が犯した……のことで、私をゆるそうと、心から待っておられます」と祈るのです。
Y‐Yield(ゆだねよ)あなたの思いを神にゆだねなさい。
 「父よ、わたしの思いではなく、みこころが成るようにしてください」(ルカ二二章四二)
E‐Expect(期待せよ)積極的な結果を期待しなさい。
 肯定的で積極的な感情、喜び、平安、信仰が、あなたの中に流れて広がっていくのを、いま先取りして感じなさい。「もし、信仰があるなら、あなたがたにできない事は、何もないであろう」(マタイ一七章二〇)
R‐Rejoice(喜べ)喜びなさい!
 神に感謝するときには、感謝の言葉を、具体的に詳しく述べなさい。たとえば、「神さま、愛する人々の顔を見ることのできる目を感謝します。大好きな音楽を聞くことができ、また、淋しく過ごしている最中に、友人の声を電話で聞くことのできる耳を与えてくださったことを感謝します」と。

 アメリカ南北戦争を終結させ、奴隷制度を廃止したリンカーン大統領は、聖書をよく読み、祈る大統領だった。リンカーンが愛していた聖書箇所の一つは、「だれに対してでも、悪に悪を報いることをせず、すべての人が良いと思うことを図りなさい」(ローマ12・17)であった。彼は朝に新鮮な空気を吸うため窓を開けるように、祈りで霊の呼吸を始め、夜にカーテンを閉めるように、祈りで一日の日課を終えた。神に祈ることこそ、ほかのどんな仕事よりも優先させることであり、多くを成し遂げるための方法だと考えていた。リンカーンは大統領に就任すると、彼を憎んでいたスタントンを陸軍長官に任命した。スタントンには、南北戦争という難局を克服する信念と推進力があると思ったからであり、「彼がこの難局を解決してくれるなら、ほかのこと(リンカーンを侮辱してきたこと)は関係ありません」とリンカーンは言った。スタントンは、リンカーンと力を合わせて国難を克服し、最善を尽くして多くの働きをした。後にリンカーンが暗殺者の銃弾に倒れ、息を引き取ったとき、スタントンはリンカーンを抱きかかえて号泣し、「ここに、最も偉大な人が横たわっています」と言ったという。

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